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いとしのジミー
今日は息子とショッピング。
最近、近くにできた巨大ショッピングモール。オープニングセールも終わった平日、人ごみも、ちょっと落ち着いているだろうから、初めて来てみた。ちょっとゆっくり見て回れそうだ。
何にでも興味津々な息子とは手を繋ぎ、「ママから離れちゃダメよ!」と、キツく言ってあった。
……のにッ!
ちょっと服屋さんで、ちょっと服を身体に合わせたりしている間に、どこかへ行ってしまった!
クゥ~~~ッ! 私としたことがッ! 私のバカバカッ!
速攻、サービスカウンターへ行き、迷子のお知らせアナウンスをお願いした!
「服装とか、できるだけ詳しく教えて頂けますか?」
「地味な服装だから、人に紛れちゃったら分かりにくいんですけど~……」
「色とか、思い出せる範囲で結構ですので、お願いします」
「え~っとですね……、今日は和装でして……」
「浴衣ですか?」
「いえ、金ピカの紋付き袴姿で、上等な雪駄を履いています」
「ほ~」
「で、髪型は殿様で、顔は白塗り、眉毛は所謂、麿的な~みたいな感じです。あまり、特徴という特徴がなくて、ほんと、すいません!」
「いえいえ、特徴の塊のような気がしますけど……」
「服装とか特徴なさ過ぎて、表現的にアナウンスしづらかったら、ごめんなさい!」
「いえいえ、大丈夫ですよ♪ お任せ下さい!」
ー ♪ピン、ポン、パン、ポ~~~ン♪ ー
「迷子のお知らせを申し上げます。志村けんさんのバカ殿のカッコをした三歳のバカ息子を、……じゃなくて、失礼しました、三歳の男の子、四村ケンくんを探しています」
と、アナウンスした途端、早速、サービスカウンターに電話が入った。
「はい、サービスカウンターです。……はい、……はい、あ、そうですか! ケンくんですか、はい、分かりました。お母様にお伝えしますね。ありがとうございます!」
ー カチャ ー
「ケンくん、見つかりました!」
「よかった~ッ! ありがとうございます!」
「いえいえ、すぐ見つかってよかったですね♪」
「はい~っ! で、ケンはどちらに?」
「タピオカドリンクの順番待ちをしている、女子大生さんたちを、一生懸命口説いてたそうですよ♪」
「あちゃ~♪」
「もうすぐ、係員の者がケンくんを、こちらへお連れしますので、今しばらく、ここでお待ち頂けま……、あっ、来られました!」
「もう~、ケンッ! ママから離れないでって、あれだけ言ってたのに、もう~! ほんと、皆さんに、ご迷惑とお手数をお掛けいたしまして、申し訳ございませんでした!」
「いえいえ、ご無事で何よりです♪」
「ケンも、皆さんに、お礼言いなさい!」
「ありやとーッ!」
「ケン、今日は、あんた、ママより遥かに地味な目立ちにくいカッコだったのに、皆さんが見つけて下さったのは、ほんと、偶然なんだからね!」
「はい、ごめんなたい!」
「あんた、お出掛けしたら、すぐ、チョロチョロどっかへ行っちゃうから、目立つように、今日は、お出掛け用に、もうちょっと派手目な服を買って、皆さんにご迷惑お掛けした分、売り上げに貢献しましょうね♪」
「わ~い♪ 派手目の服を買ってもらうのって、僕、初めてだね~♪ わ~い♪ うれしいな~……♪」
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