月夜の変態紳士、白見さん。

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今回の暴行未遂犯のサラリーマン風の男は、篠山 稔、年齢は33歳の男 で、コピー機のレンタルなどをすすめる営業マン。  理沙の働くコンビニの常連客だったらしい、理沙に以前から好意を持 っていたが接点もなく。 あの夜、珍しく理沙が遅い時間帯まで仕事しているのを知り、帰りに声 をかけようとしたができず。  一駅向こうに歩いていく姿を遠くに尾行しながら、声をかけるチャン スを伺っていたものの、できず。 事件があった、あの公園に入る姿を見て、衝動的に襲ったらしいのだ。 「…そんな、身勝手な」 理沙が、わなわなと静かな怒りに震えていると。 「確かに、どんな理由があっても、保波さんを傷つけていい道理はない」 田中も婦人警官も、きっぱり言って、頷きあう。  「ところで…」そう言うと、田中は別の書類を開きはじめた。 「あなたを助けた人物。いや、管理人さんではなくて。何か、覚えてい ることはありませんか?些細なことでも結構です」 先ほどよりも、熱を帯びた目で、田中は理沙を真っ直ぐ見つめる。 「何か…って、何がですか?私は意識を失ったんですよ?」  田中が、大きく息を吸って吐きだすのが伝わってきた。書類の一部を 理沙の前にすべらせる。  理沙の視線の先に“あの夜の男”が写っていた。だが、様子がおかし い…まず縛られ方が異様だ、何か、縄で細工されているように縛られて いる。  灰色のスーツに白いシャツは、はだけている…というよりも、ダメー ジジーンズのような裂け目が至るところに広がり、中から白い肌があら わとなり、小さな鮮血も見てとれる。 別の写真は後ろ姿だが、お尻を中心に生地がボロボロで、さらにあらわ となった肌は紅葉のような紅の赤さに腫れている。 うなだれた横顔も見える。口元には見慣れない穴のあいたピンポン球の ような球体を中心に咥えさせられ、涎と汗に半分白目をむいている。
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