2人が本棚に入れています
本棚に追加
今回の暴行未遂犯のサラリーマン風の男は、篠山 稔、年齢は33歳の男
で、コピー機のレンタルなどをすすめる営業マン。
理沙の働くコンビニの常連客だったらしい、理沙に以前から好意を持
っていたが接点もなく。
あの夜、珍しく理沙が遅い時間帯まで仕事しているのを知り、帰りに声
をかけようとしたができず。
一駅向こうに歩いていく姿を遠くに尾行しながら、声をかけるチャン
スを伺っていたものの、できず。
事件があった、あの公園に入る姿を見て、衝動的に襲ったらしいのだ。
「…そんな、身勝手な」
理沙が、わなわなと静かな怒りに震えていると。
「確かに、どんな理由があっても、保波さんを傷つけていい道理はない」
田中も婦人警官も、きっぱり言って、頷きあう。
「ところで…」そう言うと、田中は別の書類を開きはじめた。
「あなたを助けた人物。いや、管理人さんではなくて。何か、覚えてい
ることはありませんか?些細なことでも結構です」
先ほどよりも、熱を帯びた目で、田中は理沙を真っ直ぐ見つめる。
「何か…って、何がですか?私は意識を失ったんですよ?」
田中が、大きく息を吸って吐きだすのが伝わってきた。書類の一部を
理沙の前にすべらせる。
理沙の視線の先に“あの夜の男”が写っていた。だが、様子がおかし
い…まず縛られ方が異様だ、何か、縄で細工されているように縛られて
いる。
灰色のスーツに白いシャツは、はだけている…というよりも、ダメー
ジジーンズのような裂け目が至るところに広がり、中から白い肌があら
わとなり、小さな鮮血も見てとれる。
別の写真は後ろ姿だが、お尻を中心に生地がボロボロで、さらにあらわ
となった肌は紅葉のような紅の赤さに腫れている。
うなだれた横顔も見える。口元には見慣れない穴のあいたピンポン球の
ような球体を中心に咥えさせられ、涎と汗に半分白目をむいている。
最初のコメントを投稿しよう!