おもかげ 1

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おもかげ 1

 あの子がわたしの家にやってきたのは半年前、夏が終わりに近づいた頃だった。 「素敵なピアノですね。……外で聞いて感激しました」  父に連れられて現れた少女はわたしの演奏を褒めると、「織江です」といって頭を下げた。  白磁のような肌、華奢な手足、長い睫毛。人形のようなその娘は、父によるとわたしの遠縁にあたるという。少しだけ身を固くしたわたしに織江は「しばらくの間、お世話になります」とまた頭を下げた。 「お前より三つ年上で、通信制の学校に通っている。絵を描くのが得意だそうだ。仲良くしてやってくれ」  父は織江を預かったいきさつも語らぬまま、長く使われていない部屋へと誘っていった。
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