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結局俺たちは飽きもせず、またキャッチボールした。でもいつもと違うのは、俺じゃなくて千葉がしゃがんでいるということ。
ミットに収めたボールに不敵な笑みを浮かべると、千葉はボールを投げ返した。
「お前がピッチャーでも良かったんじゃね?」
飛んできた球を受け止め、俺は笑った。
「無理ムリ。ピッチャーはお前と橘以外ムリだったよ」
やっぱ楽しい。野球は続けたいな。草野球でいいから。
千葉もそうだな、と笑った。
だから、お前にはスカウト来るって。
分かった分かった。
本当のキャッチボールをしていると、千葉のスマホが着信音を鳴らした。
首を傾げながら操作する千葉の顔が、見る見る驚きの表情になり、目が見開かれた。
その後、ムスッとして鼻の頭にしわを寄せる。グラブを脇に挟み、返事を送ってポイとカバンにスマホを投げた。
「誰?」
「…………」
「みのりん?」
答えない千葉の代わりに、コイツのスマホを取ってロックを開ける。なんで知ってるかって? コイツがスマホ手に入れた時に嬉々として話したんだよ。馬鹿だろ。
ーー今日の夜、一緒に花火が見たいです。
ーー嫌なこった。バーカ。
……千葉の返事に呆れた。馬鹿はお前だ。
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