45人が本棚に入れています
本棚に追加
どうって?
どうなんだろう。
好きだし、妹みたいに可愛いけど、果たしてコイツと同じくらいの熱量で俺はみのりんのこと「好き」なんだろうか。自信がない。
それなのに、覚悟もなく「好きだ」と言っていいのか?
「……可愛いと思うよ」
「なんだそれ」
答えに困った俺の言葉に、千葉は不満そうに鼻を鳴らした。生温い夕方の風が汗ばんだ顔を撫でていく。
「『可愛い』ってのは本心だし」
「バカか。お前」
千葉はますます苛立つ。
「こんな時まで責任感持ちすぎなんだよ」
吐き捨てられた言葉は、不器用だけど胸にくすぐったい。結構俺たちって解り合ってる。なんて言ったら、「絶対気持ち悪い」って嫌がられそうだけど。
照れ臭いのも伝わったのか、千葉は敢えてフンと鼻息を荒くした。
「言っとくけど、俺はあいつが好きだぞ」
「俺に言ったってしょうがないじゃん。本人に言えよ」
「……お、おう」
すぐ赤面する。夕日に照らされて赤いのに、それでもハッキリと分かる。
いいなあコイツは。正直で。
その分、相手打者に打たれた時にも真っ青になるんだけど、それは甲子園での戦いの途上で克服していた。
ひと回り大きくなった千葉。みのりんとうまくいってほしい、とも思う。それも本心だ。
進路も恋も宙ぶらりんな俺たちは途中で別れ、俺は自転車で、千葉は走って家路に着いた。
最初のコメントを投稿しよう!