夏祭り

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二人で並んで石垣に座ると、夜風が柔らかくみのりんの後れ毛を揺らした。 カキ氷用のストローみたいなスプーンで、氷をザクザク容器の中で突く。みのりんのはイチゴ。俺のはメロン味。 「描いてるマンガってどんなストーリー?」 唐突に尋ねると、みのりんの口から氷が飛び出した。見るからに動揺して俯いてしまった。 「せ、先輩が見たらあきれますよ。恋愛ベタベタの話なんて……」 言い訳するようにモソモソと口ごもる。 「そんなことないよ。俺たちだって、レンアイするし」 「えっ?」 途端に興味津々の顔を上げる。 女子って本当にコイバナ好きなんだな。 「先輩も? なんか、意外です」 罪深いな、みのりん。俺たちはいつもみのりんを取り合ってるじゃないか。なんで気づかないんだよ。 今度は俺が拗ねる番だ。ちぇっと口を尖らせて、でも苦笑いした。まあ、確かに恋愛って柄でもないしな。 「先輩に好かれる人は、幸せですね」 えっ? 驚いて見つめると、みのりんの頬に月の光が差していた。 「なんで、そう思うの?」 俺の素朴な疑問に、ふんわりと柔らかく微笑む。 「優しいから、です」 胸が熱くなる。 胃の辺りから上ってきた感情が鼻を突き抜けた。身体中の熱が顔に集まって、何も考えられないのに、部活の仲間たちの顔が脳裏に浮かんだ。
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