キャッチボール

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キャッチボール

ーーキャッチボールしねえ? 翌日も千葉からメールが来た。 ベンキョーするんじゃなかったのかよ。とか言って、俺もぼんやり漫画読んでたけど。 お前の言う『キャッチボール』って、150キロも出るボールを俺に向かって力一杯投げるアレだろ? 俺は画面を見つめていたが、仰向けにひっくり返ったまま返事を打った。 ーー昨日、みのりんに告白した。 送信ボタンを押してから、3秒も経ってなかったと思う。向こうから電話がかかってきた。 「抜け駆けしやがって」って、怒鳴られるかな。俺は苦笑いして通話ボタンを押した。 『おい!』 俺の予想を真逆に裏切り、千葉の明るい声が聞こえた。 『やったな! お前、やっと素直になったんだな』 何を喜んでんだ。 豆鉄砲喰らった鳩みたいにポカンとしちまったじゃんか。 「でも、多分振られた」 『……そっか』 いや、なんでお前がそんなションボリするんだよ。おかしいだろ。今、絶対あいつの口、への字になってる。 俺なんてライバルにもならないけど、そこは喜ぶべきなんじゃないの? 「千葉のこと、好きなんだと思う」 そう言うと、電話口の向こうで千葉は鼻で溜め息をついた。 『俺はとっくに振られてる』
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