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アミの家の庭には、あの子の死体も埋まっていた。
その隣にブルーシートにくるまれたアミの死体もシャベルを使ってゆっくりと埋める。
深夜二時。
辺りが完全に静まり返って、虫の羽音しか聞こえない時間に私は静かにアミと諸々を埋めていた。
ブルーシートに包まれたアミ。
アミが撮ったであろうリョウ君の盗撮写真。
スマホや日記帳ももちろん埋めておく。
少し腐ったあの子を憐れみながら。
私とアミはリョウ君のことが好きだった。
アミがあの子のことを邪魔に思っているのは薄々だけど気づいていたし、あの子がいなくなった時もまさか、と思った。
それは、私とリョウ君が付き合うことになったと伝えた時に確信に変わってしまっていた。
あの驚いた顔は、友人の朗報を喜ぶものではなかった。
驚きと憎しみ。
どう見ても、えくぼのある笑顔はひきつっていた。
「ごめんね、アミ」
私はもう一度、土の下の死体に謝る。
自分のいなくなった子供が自分の家の庭に埋まっているなどとは誰も考えないだろう。
だから、もう会うことはない。
「リョウ君のためにアミが邪魔だったんだ。あの子もアミも、さようなら」
私はリョウ君と幸せに暮らします。
物語だとしたらこう言うのだろう。
最後の台詞は心の中でつぶやいた。
──めでたしめでたし。
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