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私はわかっていた。
「ごめんね……ユウカ」
アミが私の寝ているベッドに近づく気配がした。
「でも、ユウカが悪いんだよ」
アミの殺気を感じた。
アミは、私がぐっすり寝ていると思いこんでいるらしい。
あ、殺される……!
でも、私は目を開く。
だって、紅茶は飲んでいない。
アミが振り下ろそうとしていた包丁がぴたりと止まる。
「ユウカ、どうして……?」
私はアミの質問には答えずに開いた目で時計を見る。
私がベッドに入ってから三十分。
ついでに見たテーブルには、私の持ってきたクッキーも、紅茶も綺麗に片付けられていた。
そしてベッドの横にはブルーシート。
これらを用意したり片付けるために、アミは三十分もの時間を使っていたということだろう。
アミを見ると、再び私に包丁を向けていた。
さすがに危ないかと思い逃げようとすると。
バタン。
アミがいきなり倒れた。
「ごめんね、アミ」
クッキーに少しずつ分けて毒を入れたから、ちょうど今、毒が体に回りきったらしい。
私も一、二枚食べたけれど、それくらいでは効果がないようだった。
抹茶で苦さも隠せたらしい。
アミの死体は……、この広い庭にでも隠そうか。
アミのカレンダーには、両親共に出張中だと書いてある。
だから、私をすぐに殺そうとしたのだろうけど。
ブルーシートと窓の外を交互に見ながら、そんなことを考えていた。
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