ひかりのしずく

―――先生は、吸血鬼です。

でもみだりに人の血を吸ったりしません。別に『そんな趣味もない』そうですが、たまに輸血の血液バッグから血を飲んでいます。

『人の血を舐めればその人の健康状態がわかる』と先生は言っていますが、その通りのようで、採った血を血液検査もせずに舐めるだけで病気も言い当てて薬まで出してしまいます。

そしてそれが外れたこともありません。

だから田舎なのにお医者さんも繁盛しているみたいです

『だから血液内科の医者になったの』と緋乃先生は言っていて―――常々、立派な人だと思っています。

吸血鬼だからといって、化け物どころか、別にそれをコンプレックスにしている素振りもなくて。

それを特技にして、人をいっぱい救っているのです。

私も、その一人。

だから、私も、そんな先生に、憧れていたりします。

―――当然、吸血鬼だから、腕っぷしもめっぽう強いみたいで。

夜となればもう無敵へっちゃらなんだそうです。

戦う場面を見たことはないけれど、弱いはずもないんだろうなと、それは何となく思っています。