夕暮れ

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私が洗濯物を取り込んでから畳んでいると、店の表で何か物音が聞こえました。 それでやっと、私は、夕方お客様が来ることを思い出しました。 といっても、知り合いなので、特に気張ることもないんですけど…。 「そうだ、先生が来るんだった」 私はお洗濯ものを畳み終えると、お茶を淹れに向かいます。 台所ではお師匠様が急須を片手に右往左往していたので、 「お師匠様、私に任せてください」 「あ、ごめんよ、あかり。どうにもお茶はやり方もよくわからなくてね」 お薬の煮だしなんて山ほどやっていて、そのさじ加減も心得ているはずのお師匠様が、お茶淹れ一つできないのは不思議なことの一つなのですが、それだから私の仕事があるのだとも言えます。 「お師匠様は先生とお話しててください」 「すまないね。先生の応対をしてくるよ」 「紅茶にしますね」 「いつもありがとう」 お師匠様はまた店先に向かいますが、お師匠様が取り出していたのは緑茶の缶でした。先生は紅茶が好きだと知っているはずなのに、やっぱりお師匠様は間が抜けています。
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