食卓にて

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『五月雨薬店』は、ちょっと変わった、薬屋さんです。 薬局で扱うような、普通の薬は扱いません。 漢方のような、そうでないような。 全部薬は、自家製です。 お師匠様は言います。 「あやかし、怪異、霊異、それらも含めて治したり、それらを使って薬を作ったりもする、そんな薬屋だよ」 ―――昔から、不老長寿と言われる薬のレシピが、中国には古くから伝わっていたそうです。 昔の皇帝なんかは必死になって、そういう薬を探し求めたんだとか。 それらの薬を作る…練丹術というそうですが、お師匠様は、それらを修めているそうです。それらを教わって、薬屋さんをやっているそうです。 無論、不老長寿になれる、仙人になれる薬を作るのが目標―――というのは建前で、お師匠様は「そこまで長生きしてもねえ」なんて言います。 でもお仕事に妥協をしているようには見えません。 店の奥でのんびりしているように見えますが、その実、お師匠様にしか作れない薬なんかもあるそうで、「その道じゃ結構知られてるんだよ」と緋乃先生は言っていました。
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