再会

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再会

 昨夜は、不思議な体験をした。(まぶた)を閉じると、まだ、あの人の姿を思い出せる。それくらい強く、印象に残っている。  学校へ向かうための道のりを少し遠回りして歩く。昨日と同じ川沿いを歩くのは、あの人に会うことを期待したからじゃない。  幼馴染みで彼女でもある、河村(かわむら)杏樹(あんじゅ)の家に向かうためだ。  杏樹とは大学が別なので、あまり一緒に登校する機会がない。今日は珍しく、朝早くに、杏樹から連絡があった。 「学校、一緒に行こう」と。  杏樹の大学は近くなので、俺の通学時間に合わせると、かなりの待ち時間が出来てしまう。それでも、一緒に行きたいと言うのは、なかなか可愛いものだった。  杏樹の家の前に着き、インターホンを鳴らす。杏樹は父親と二人暮らしなので、出てくるのは大抵、杏樹だった。  はず、なのに……。  杏樹の家から出てきたのは、昨日の夜に見かけた、あの美しい女性だった。家を間違えたのだろうか? 表札には「河村」とある。 「あの……。伊達(だて)直人(なおひと)と申します。ここは、河村杏樹さんのお宅で、間違いありませんか?」
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