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美しい人
学校の授業にも身が入らず、話は右から左へと流れていく。頭の中は、昨晩の事と、今朝の事で、いっぱいいっぱいだ。
(今、誰の事を考えてる?)
自分で自分に問いたい気分。自分の事がわからなくなるなんて、無いと思ってた。ずっと。
ボンヤリしていても、何とかなるものらしい。1日分の授業を受け終わると、家路に向かった。
帰りは一人。いつものように。
最寄り駅に着き、川沿いの道へ向かうと、あの人が、居た。
「あの、こんにちは」
挨拶すると、少し間を置いてから、挨拶された。向こうからすれば、今日初めて会っただけの人間。すぐにわからなくても、それは当然の事。
「改めまして。姉の椿です。妹の杏樹が、いつもお世話になっております」
椿さんが、深々と頭を下げる。胸がチクリと痛むのは、杏樹の忠告を無視したから?
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