お互いうかうかしてられない

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お互いうかうかしてられない

半袖じゃないとまだ暑いが暦では秋。昼休みにお弁当を食べていると隣に座る先輩から一枚のプリントが廻された。今週金曜日にあるビアガーデンパーティの出欠表である。 「おっ! 宇佐美さんそれ行くの?」 「きゃっ!」 後ろから飛んできたのは月岡さんの声だ。しまった今の悲鳴は我ながら可愛らしかった。 「これありがとう。ホッチキス」 月岡さんは午前中に貸してそのまま自分の課に持って帰ってしまった私のホッチキスを机の上に置く。むしろなんで持って帰ったんだよ。 「ピンク選ぶって宇佐美さんらしいよね。似合ってる」 適当じゃああああ。そこのドラッグストアの文房具売り場の真ん前に陳列されてたヤツ取っただけじゃああ。何なら隣で洗剤をカゴに入れて立ってたちっちゃいおっさんとおそろっちじゃああ! 「そうですかー? ホッチキス似合うって初めて言われましたね」 トボけてみると月岡さんはプッと吹き出してくる。 「いやホッチキスじゃなくてさ……宇佐美さんホント天然だなー」 テメエに言われたくないわあ!
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