私のキモチ

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私のキモチ

「橋本!なにやってんだよ。 取らなきゃ、食べられないぞ!」 「……え?」 ふと見ると、竹の中をそうめんがさらさらと流れて行く。 そうめん流しだ。 僕は、そうめんをつかもうとした。 だけど、箸を持ったまま、僕は固まってしまった。 だって、僕の目の前には憧れの吉村早苗さんがいて… しかも、早苗さんはスクール水着を着てるんだ。 そう小学生が着ている、あの紺色の水着だ。 そもそも、そうめん流しに、なんで水着なんだ…? しかも、スクール水着って… 露出度の高い水着とはまた違う色気みたいなものがある。 いや…なんて言うんだろ…大げさに言えば、背徳感のようなものさえ感じてしまう。 僕は、恥ずかしくて、顔を上げることが出来なくなった。 早苗さん、なんでそんなもの着てるんだよ。 ほかの社員も見てるじゃないか。 恥ずかしくないのか? 僕は、流れて行くそうめんを見ながら、心の中で早苗さんへの想いを吐き出した。 だけど、そんなことをしても、彼女に伝わるはずもない。 「橋本さん!」 「え?あ……」 顔を上げると、早苗さんが僕の方を向いて微笑んでいる。 「橋本さん…これ、受け取って下さい!……私の気持ちです!」 そう言って、早苗さんは僕に葛餅を差し出した。 葛餅が気持ちって…一体どういうことなんだ!? 僕は受け取った葛餅を手にして、ひたすら悩む… * 「……わっ!」 なんだ、夢か…気が付けば、そこはいつもの僕の部屋。 そうだよな。あんなことが現実のはずがない。 でも、夢の中とはいえ、早苗さんのあんな水着姿を見られたのはすごいことだ。 あぁ、記憶を映せるカメラがあれば… それに、あの夢はもしかしたら正夢かもしれないぞ。 僕は意外と第六感みたいなものがあるから。 あのシチュエーションを考えると、早苗さんは僕に好意を持ってるのかもしれない。 そんなことを思ったら、朝からにやにやが止まらない。 僕はうきうきとした気分で、出社した。 「みんな、お茶でも飲まないか? 実は、今日は良いものを買ってきたんだ。」 昼過ぎに、外回りから帰って来た係長が、みんなに声をかけた。 お茶と一緒にみんなに配られたのは、葛餅だった。
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