670人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
「悪い・・・俺、今日休む・・・」
いつものように朝、市太を起こしに来た架。
市太の青白い顔を見て、その額に手を当てる。
「結構 熱ある」
「・・・すげー寒い」
「これからまだ上がってきそうだな~。病院は?」
「あまりにしんどくて夜中に救急行った。風邪」
「そっか」
「平気か?ひとりで」
自分の体よりも俺の事 心配してくれんの?
架は市太の優しさに胸がじわっと熱くなる。
「へーきだし。人の事より自分の体心配しろよ。しっかり寝てさっさと治せよな」
「具合悪くなったら、連絡しろよ。すぐに行くから」
「ふっ、俺より具合悪くなんだろ、それ。マジだいじょぶだから」
市太は昔からずっと変わんねーな。いつだって俺を優先してくれる。幼なじみとして大事に思ってくれる。それにずっと甘えて来たけど、そろそろ本気で離れなきゃ、いちに悪い。
二枚重ねにしたマスクを装着し、架は市太の家を出て駅へと向かう。
最初のコメントを投稿しよう!