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やっぱり1限から入ってるとラッシュと重なって人が多い。
隣に市太がいないと思うと急に不安になって足が竦むな。もう一枚マスク着けとこ。
駅のホームの端で、なるべく人混みを避けるように俯き電車を待つ架。
背中に近付く気配と視界に入る影が気になると、嗅ぎたくないのに何かを確かめるように鼻から息を吸ってしまう。
他人のにおいに体が反発して、額に汗が滲んでくる。
いくらトラウマだからって、別に犯されたわけでもないのに・・・どうして俺、こんな体になっちゃったんだよ・・・!
吐き気がする、目眩がする。いっそここで倒れてしまえたら楽に・・・
「おにーさん、大丈夫?」
突然顔を覗き込まれて驚いた架は、その相手から距離を取ろうと一歩横に足を出す。
が、立っているのもやっとの体を支えきれずにフラつき、ホームの外側へと傾いてゆく。
やば、落ち・・・
「あっ!! ・・・ぶね・・・っ」
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