おわりの日。

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おわりの日。

「…で、本題なんだけど」 彼がカップを弄るのをやめて、ひとつため息をついた。 あ、これが合図なんだ。とすぐに分かった。 ふっ、と息を漏らして、心の中で深呼吸する。 「…うん、なあに?」 動揺を見せないように、こてん、と首を傾げてみせる。 でもきっと、バレてるんだろうな。 唇の端はなぜかあがっていて、けれど、ひくりと引き攣っている。 私の作り笑いをしたときの癖。 前に、嫌いだって言われた、笑い方。 「…無理やり笑わなくていいのに」 半笑いでへらりと言われる。 「ごめんね、勝手に口角が上がっちゃうみたい」 ふふ、と声を漏らす。これも作り笑いのときの癖。 あ、そ。 興味をなくしたような、諦めたような声。なのに半笑いのまま。 こういう態度は、彼の嫌なとこ。 いつもいつも、ぎり、と心臓を掴まれる感じがするから。 「わかってると思うけど」 ほらきた。 泣くな。負けてたまるもんか。 だって知ってたもの。 用意だってしてきたんだから。 「別れましょうって、話なんだけどさ」 ちら、と上目遣いで、彼がこっちを見ている。 泣くな。 「どうですか?」 ぽろ、と、堪えきれなくて、水滴が目から落ちた。
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