0限目 『初恋…突然の再会』

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0限目 『初恋…突然の再会』

9月末…。今日はあたしの通っている、A女子学園高校の文化祭の『姫百合祭』が開催される。 あ、あたし? あたしは、工藤 渚 (くどう なぎさ) 高1。8月生まれの16歳になったばかりの女子高のJKだよぉ。笑。 進学したコースは衛生看護科コースで現在、1年生に在籍中。 将来の目標は…。 『仕事の出来る白衣の天使』 を目指してるの。 実はね…。 中学1年で『初恋』してそれから中学3年間、ずっと『片思い』の男の子に『告白』出来ずに、中学を卒業。 その男の子とはバラバラの高校に…。 おまけにさ あたしは女子高…。 新しい恋の予感すら皆無…。 そんな失意の中での秋の文化祭…。 あたしのクラスの出し物は、今流行りの『メイド喫茶』 あたし、あまりメイドの コスプレは好きじゃない…汗。  ロリーター系はあたし、苦手…。勝ち気で男勝りの性格からかな…? でも、クラスメートの他薦でメンバーに抜擢された。 あたしのA女子学園高校の『姫百合祭』は土日で日曜日は一般公開の文化祭なんだよね~。  あたしは、クラスメイトから無理矢理、手作りのメイド服を着せられた。 あたし的には衛生看護科コースらしく、ナース服を着てナースキャップを被り『血圧測定』とかしたかっんだけどな…。 あたしは、ナースキャップの代わりにメイドの着けるレース生地の髪止めを付けさせられたのだ…。 鏡を見たが『似合わない…。』 クラスメイトは『渚、可愛い❤』との好評価…。 な、何故だ? クラスメートからは若手女優の『川口春奈』に似ているとか、よく言われる。 でも、あたしは知らんぷりの…、いつもツンデレ状態…。 しかし、ある出会いがあたしの態度を180°変えさせた…。 日曜日。 『姫百合祭』2日目…。 あたしのクラスの『メイド喫茶』は、中々繁盛していた。 あたしは、忙しくホールの仕事を『にわかメイド』ながらもこなしていた。 あたしのメイド役は午前中だけ。 午後は、あたしの着ているメイド服を午後担当のあたしと背格好の似た別のクラスメイトが引き継いで着て、午後のメイド役を演じる。 そんな午前中の終わり近づいた正午前。 一人の男の子が丁度、布巾で拭いたテーブル席に座った。 あたしは、もう使い馴れたマニュアル通りの台詞を口に出した。                「お帰りなさいませ。 ご主人さま。お飲み物は 何にいたしましようか?」                 あたしは『作り笑い』で対応し、その男の子と顔を見合わせた…。 その男の子は、びっくり顔で、  「く、工藤?工藤だよな? 工藤 渚…? C中出身の?」                        「あ!た、高橋くん…? 高橋…元(はじめ)くん? どうしてここに居るのぉ?」  「お、お前こそ! 俺は、ここの高校の衛生看護科コースの3年に姉貴がいるからさ。『姫百合祭』の整理券貰ったし…。彼女も居ないし… ふらっとね!」       「衛生看護科コースの3年生?えっ?高橋くんのお姉さんて3年生の高橋 麻里乃 先輩?」     「あぁ。そうだよ。麻里乃は、姉貴だよ。」 「に、似てない…。全く気付かなかった…汗」  「アハハ…。よく言われるよ。似てないってさ。工藤、中々のメイド姿、似合ってるやん!」 「ちょっと…辞めてよぉ。 恥ずかしいじゃん!あたしは、にわかメイドだよぉ。」 「似合う、似合う!メイドの渚ちゃん。」              「もぉ…、からかわないでよぉ。欲しがるなぁ…、はいはい、似合ってますよーだ! 笑笑」                 「で、ご注文は?」                   「あっ…、えーと…、コーラ フロートを頼む!」     「はい。承知致しました。 ご主人さま。笑笑」                あたしは胸が『ドキドキ』 して止まらなかった…。 そう、高橋くん、えーと…高橋 元(たかはし はじめ)くん…。 実は、さっき話した『初恋』&『3年間片想い』のあたしの大好きな男子なんだ…。 まさか、こんな形で『再会』をするなんて…。 偶然?それとも必然?   元くんは、若手俳優の『高杉真宙』くんに似の、あたし好みの超イケメン男子。 あぁ『ドキドキ』が止まら ないよぉ…。 しかし、逆に、お近づきになるチャンスでもあったりもする…。    あたしは、少し頑張ることにした。 『恋愛成就』のために!                     「はい。ご主人さま、コーラフロートでございます。因みにあたしの奢りでございますです。笑笑。」              「えっ? いいのか? 工藤?」                 「うん。再会記念だし、コーラフロート、200円だしね。その代わり、あたし午後からフリーだから、一緒に『姫百合祭』楽しもうよ!ダメかな?」                       「うん。構わないよ。校舎内を案内してれよ!」     「うん。かしこまり。 ありがと。ちょっと着替えてくるから、ここでコーラフロート飲みながら待ってて…。 実はこのメイド服、クラスメートと着回しだからさ…汗」                        あたしは、なんと大好きな高橋くんを自ら誘ってしまった…。 自分の積極性に自分が一番驚いた…。    メイド服を午後担当のクラスメートに脱いで手渡すし、あたしは自分の制服に着替えた。 あたしのA女子学園高校の制服は、今どき珍しくなったセーラー服なんだよぉ。笑笑。 リボンは個性的な濃いグリーンに白いセーラー襟。濃紺の制服。 『大人びたセーラー服』って感じの上品で清楚な制服なんだ。 「お待たせ!高橋くん。 制服に着替えたよぉ。」                「工藤…、姉貴と同じセーラー服だな。当たり前か。 笑笑。 でも、姉貴より可愛い気がする!」                  「アハハ…。高橋くん、欲しがるなぁ…。笑笑。ありがと。早く行こう! 元くん!」                  あたしは、あたしから手を繋ぎ、強引に元くんを校舎の廊下に連れ出した…。   あたしと元くんは、つかの間の午後の『姫百合祭』デートを楽しんだ。 『姫百合祭』最後は、毎年、恒例のステージイベントがあった。 あたしたちも、ステージの観客席に座ろうとステージに急ぐと、同じクラスのクラスメートの『姫百合祭実行委員』の中村萌絵ちゃんが、あたしにある頼み事を依頼してきた。 萌絵ちゃんとは、このA女子学園高校 衛生看護科コースで仲良くなり、今や『親友』と呼べる存在だった。  あたしは萌絵ちゃんの頼み事を『快諾』した。                     ステージイベントは、ガールズバンド演奏や、カラオケ選手権、各部活の出し物合戦などがあり、いよいよ最後のコーナーになった。 そのコーナーとは『姫百合祭』の名物コーナーの、 『告白タイム』であった。 いわゆる公開告白である。    そして、実行委員兼コーナー司会の、萌絵ちゃんが、 あたしの名前を呼んだ!       「今年の告白ガールは、衛生看護科コース 1-B 工藤 渚さんです。ステージに上がってください!」       あたしは深呼吸してステージに上がった。   司会の萌絵ちゃんが                  「さて、工藤 渚さん、何方に愛の告白をされますか?」                    「あ、あ…、えーと、あ、た、高橋くん、高橋 元くんに…です…。アハハ…ハ…汗」            すると、萌絵ちゃんが                「高橋 元さん、会場内に おられましたら、速やかに ステージに上がってください!」        あたしは、目の前にいる、高橋くんがどんなリアクションをしてくれるか心配だった…。 高橋くんは                     「工藤…笑笑。お前、ホント欲しがるなぁ…。」                 と軽く笑い、ステージに上がってくれた…。     司会の萌絵ちゃんが                 「では、工藤 渚さん、告白 タイムです。どうぞ!」                       あたしは、おもむろに一歩進み出て、高橋くんとの距離、約1mの位置についた。 そして渡されたマイクに向かって…。               「高橋 元くん…、あ、あたし…中学1年生の高橋くんに『初恋』しました…。 それから中学3年間ずっと、ずっと今日まで『片想い』 でした。あたしは、今でも、一途に高橋くんが、大好き です!お付き合いしてくだ さい!お願いします!」                  意外にも、スラスラとマイクを通して告白した。 高橋くんは直ぐに              「工藤…。お前、ホント、欲しがるよなぁ…。あぁ、いいよ!喜んで! 俺も工藤 渚に 中学1年生の時『初恋』をした。中学3年間ずっと、ずっと一途に好きだった。 今もそれは変わらない…。 これから、末長く宜しくな。」        会場内から、割れんばかりの拍手喝采が沸き上がった!              あたしたち、2人はお互いに【中学3年間の『初恋』『片想い』のピュアな純愛の想い】を成就させることに成功した。                     「高橋くん…、ずっと、大好きだよ! 仲良くしようね。kiss💋 」 あたしと元くんは、中学1年生以来、足掛け4年越しの『初恋』を実らせついに『恋人同士』にステップアップした…。 残暑も過ぎ、初秋の心地よい微風が、あたし達の居るステージに優しく吹き抜け、あたしはその心地よさを『彼女』になった喜びと重ね合わせていた…。 元くんを見詰めるあたしの視線に元くんは微笑み返してくれた…。 あたしも自然と笑顔になった。 これからの幸せな2人の未来を予見させる笑顔にも思えていた…。 短編 読み切り 青春 純愛小説 『アオハル日記』 ⑦ 【初恋…突然の再会】 おしまい。
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