本章

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そんな時、天使の囁きか悪魔の囁きか酷く魅力的な話が舞い込んできた。 「そこの君、そんな顔をしてどうしたんだい?」 真っ黒なスーツに真っ黒のサングラス、短髪の黒髪を後ろに流したスマートで長身な男が話し掛けてきた。 見るからに訝しげな身なりだ。 警戒している千花に男は一歩近づき話を続けた。 「俺の研究対象になってみないか?」 意味が分からず眉間に皺を寄せ警戒心を強める千花に男は淡々と説明をする。 対照的な男女が共同生活をしたらどうなるのかが知りたいそうだ。 ルールは一年間、自分とは対照的な環境で生活してきた初対面の異性と同居するというもの。 常識で考えれば、こんな怪しい話に誰も乗らないだろう。 けれど、千花にとっては美味しい話であった。 同居する為の部屋を用意してくれているというのだ。 生活する為のお金は、同居人同士で遣り繰りして欲しいとのことだが、今すぐにでも家を出たかった千花にとってまたと無い話だ。 どうせ散々痛め付けられてきた、別に死んでもいい。 千花は、諦め半分、期待半分で男の話を受けた。
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