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―天界―
「……地が、泣いている。私たちも行かねばならんのか、あの場所へ。」
天使たちを束ねし天界の王ミカエールは、悪魔のものになろうとしている地上界を見て嘆いていた。
「しょーがないよー。だって、わたしたちのおしごとはにんげんさんをたすけることでしょー。」
ミカエールの右腕の大天使ガブリエールは、ドーナツのような物を食べながら気だるそうに答えた。
「ちょっと、ガブ食べ過ぎよ!わたしのぶんまで食べないでね!ミカエール様、今回ばかりはしょうがないかと思います。どうかご検討を。」
ガブリエールの双子の妹の大天使ラファエールはやや不安そうに言った。
「嫌な……というか、不吉とも違う何らかの気配を感じるんだ。まるで私たち“表に生ける全ての生命”を試すかのような…」
「もしかして、悪魔より恐ろしいとされるあの太古の監視者……ですか?」
「なにそれ?わたしはじめてきいたよー。」
「……事が深刻化する前に手を打つしか無いみたいだ。デーナミスとウリエール、それからスィンダルフォーン、先に行くのだ!私も後を追う!」
赤い鎧を着た赤き翼の天使デーナミスと純白の天使ウリエール、そしてミカエールも認める天界一の槍使いスィンダルフォーンはミカエールの命を受け、下界へと降りた。
ーその後、地上界ー
『これが今の地上界か…スィンダル様、どう思いますか?』
『実に愚かとしか言い様が無いが、尊敬するに値することを彼らはしている。助ける価値はそれだけであると見てよいだろう。行くぞ、デーナミス、ウリエール!』
『『ハッ!』』
……先程ミカエール殿とあの双子ちゃんたちが交わしていた会話の中に幾つか気になる点がある。“太古の監視者”……一体何のことだ?
「おい、あれを見ろよ!天使様だ!きっと、我らを助けに来てくれたんだ!」
「おーし、お前ら!一気に行くぞぉ!」
「「おーーーっ!」」
人間は天使の存在により、士気を上げるらしい。よく分からんが、確かに仲間あれば負け有らずという言葉を耳にしたことがあるからな。
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