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『へっ、今更のこのこ出てきたところで戦況は変わらんぞ、天使どもぉ!』
『それはどうかな…魔王ホーク。この天界王ミカエールを前に、同じことが言えるかい?』
黒き空を突き破るように出現した光の柱から天界の王ミカエールが現れた。その手には光剣エクスティオンが握られていた。
『魔王軍を代表して、この俺ホークがお前に地獄ってもんを……見せてやらぁ!』
ホークはその赤き翼を広げて辺りに黒い火の粉を振り撒きながら、ミカエールに攻撃を仕掛けた。
『なぜ今になって現れた!お前たちは冥府の者が管理するという約束だったはずだ!』
『フン、アイツらが目を離したのが悪いのさ!目さえ離さなければ俺らは利口に封印されてやってたのになぁ!』
状況は完全に混沌となった。天使の軍勢が加わったことで、彼らの流れ弾が人間たちにも当たり始めたのだ。
しかし彼らはまだ知らなかった…彼らが〈見られている〉ということを。
そして…迫り来る真の恐怖に、気づいた者はミカエールのみだった。
ー冥府ー
『………いつまで筋トレしてるつもりだ、ベヒーモス。もう二日も絶食してるじゃないか。』
『なぁに、俺は二日も食べてなくたって筋トレしている!つまり、俺は死なない!』
…ダメだ、私の友ながらコイツは本当に話の通じが悪過ぎる。まさかとは思うが、脳まで筋肉になっていないだろうな!?
既に霊体だから、気にするまでもないか。
『ラグナテスお兄様、どうしてそんな悲しげな面持ちなんですか?私が嫌いになってしまったのですか?』
ラグナテスのことを兄と慕う死神の長ニュクスは今にも泣き出しそうな声で聞いてきた。
『まさか……私を慕う存在をそう簡単に嫌いになどならん。だが…あの世界で秩序が乱れかねん事が起きている…こちらに影響が出る前に手を打とうと思ってな。』
『ならば、喜んで力を貸すぞ、ラグナテス!』
『いや、お前は来るなベヒーモス。戦況はおろか事態すら悪化しかねん。許せ…』
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