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ラグナテスの右手から発せられる魔力とクリスタルに秘められた封印の力が強く反発し合った。
『ハハハハハ!焦ったな、冥府の皇よ!元々その剣は未完成のまま封印されていた!完成のためには光と闇の力が無ければならんのだ!つまり、冥府の皇のその魔力全てが究極魔法剣の完成と封印解除のために必要だってことだぁ!』
……何だと!?この私がこの様な男一人に利用されただと!?ふざけるな…良いだろう……ありったけの力を注ぎ貴様では握られぬ物へ昇華させてくれる!
『そのままクリスタルの糧となって散れぇ!』
『喰らうが良い、封印のクリスタルよ!我が力をその身に受け、お前が隠している剣を露にするが良い!』
ラグナテスは何とクリスタルを破壊しそうな勢いで魔力を注いだ。己の体のあちこちが悲鳴を上げていることなど気にせずに。
すると、クリスタルはやがてガラスが割れるような音と共に弾け飛び、中からついに究極魔法剣ヴァルティマがその姿を現した。
『やった……やったぞぉ!これでボクは……神になれる!地上で威張り散らす虫ケラどもを蹂躙できる!感謝するよ、冥府の皇よ!』
クラウスがその剣に触れた途端、剣が折れてしまった。光と闇のバランスが崩れたからである。
『愚かな奴め…私を誰だと心得るか…!ただでその剣を復活させたと思うなよ。こうなることを見越して予め闇の力を多く注がせてもらった。貴様が握っただけで壊れるほどになぁ!』
『何てことをしてくれたぁぁぁぁ!』
ガッ……
『私はお前の様な人間が一番嫌いだ。確かに他者を蹴落としたり扱き使う輩がいるのは知っている…だが、それを武力で抑え込んでは報復を招くだけだということをなぜ分からん!』
ガガガゴゴゴゴ……
『な、何だこの音は…まるで……』
『祭壇そのものが私たちに怒りを表している…』
次の瞬間、元々クリスタルが安置されていた場所から物凄いエネルギーが発せられ、あっという間に二人を包み込んでしまった。
轟音と共に二人の体は少しずつ動きが制限され始めた。
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