10.月曜の朝

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 健二(けんじ)さんに、世間の荒波に揉まれるべきだと臨時職員を勧められたのは、私にとって転機となるいい機会だったのかも。  ここに来なければ――私は健二さんとの結婚に疑問なんて抱かずにいただろうし、恐らく(とつ)いでからも周りの(げん)に、唯々諾々(いいだくだく)と従うだけの存在だったと思う。  親の言う通りに結婚することに対して、「私自身がどう思っているのか」を考えることの重要性を説いて下さる方はいらっしゃらなかったから。 (中本さん、高橋さん、本当にありがとうございます)  もう一度心の中でお二人にお礼を言うと、私は晴々(はればれ)とした気持ちで席に戻った。ちょっとだけ自分を縛っていた()(もの)が落ちて、真っ直ぐに前を見て修太郎さんの方へ歩いて行けそうな気がした。
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