2870人が本棚に入れています
本棚に追加
言いたいことを言えたからでしょうか。
気持ちが緩んだ途端、瞳にじわりと涙が盛り上って、ポロリ……と頬を伝った。まるで揺らめく心と一緒に、涙があふれてしまったみたい。
修太郎さんはそんな私をご覧になられて、ご自身も何故か泣きそうな……この上なく辛そうなお顔をされて。
私の涙を拭うように目尻にそっと口付けてから、再度謝罪の言葉を述べていらっしゃる。
でも、それでもどうしてもこれだけは言わないといけないという風に、
「日織さん。お願いですから今後二度と……高橋にだけは近づかないでもらえませんか?」
そう、懇願なさった。
「――そうでないと僕は……」
そこで一旦言葉を区切られると、下着を持ったままの私の手をそっと包み込んで、「――そうでないと僕は……嫉妬でまた同じことをしてしまいそうで怖いんです」と、とても苦しそうに心情を吐露なさる。
私は、修太郎さんがどうしてそんなに高橋さんのことを警戒されるのかが理解できなくて、苦しげな表情をなさる彼を、思わずじっと見つめてしまう。
でも、修太郎さんにそう言われて思い返してみると、今までも彼は私が高橋さんと二人きりで話したりしていると、邪魔をなさりにいらしていたことに思い至って――。
最初のコメントを投稿しよう!