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翌日、私は終業後に修太郎さんに、彼が使っていらっしゃる携帯電話のことをお聞きした。
どうせ持つのなら、修太郎さんと同じ会社――通信キャリアというみたい?――にしたいと思ったから。
修太郎さんは、ご自身のスマートフォンを私に手渡してくださいながら、「僕のはdoconoのこれです」とおっしゃった。
スマートフォンには保護のためにカバーをつけるものだと勝手に思い込んでいたけれど、修太郎さんのそれは裸のままで。
サラサラとした機種本来の手触りを好もしく思いながら、シンプルなブラックが修太郎さんに似合っているなと、そんなことにすらときめいてしまう。
(私はおっちょこちょいだからカバーをつけないとダメでしょうけれど)
剥き出しなのに、傷のほとんどついていない修太郎さんのスマートフォンを見て、彼の卒のなさを垣間見た気がした。
「ありがとうございます」と機種を修太郎さんにお返しすると、彼はその画面の時計表示にチラリと視線を落とされてから、「ご一緒しましょうか?」とおっしゃった。でも、私はそれには丁寧にお断りを申し上げる。
「ごめんなさい。――今回は……全部自分の力でやってみたいのですっ」
そう言ったら、頭をクシャリと撫でられた。
人目から隠れるように、私と修太郎さんは階下へ降りる皆さんと逆走する形で、最上階の屋上を目指した。
庁舎の屋上は庭園のようになっていて、所々にベンチが置かれている。
幸い私たちがそこへ上がったとき、見える範囲には誰もおられなかったけれど、それでもどこか物陰に誰かがいらして……今のやり取りを見られてしまったかも、と思うとドキドキしてしまった。
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