13.車のなか*

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 念願の携帯デビューを果たした日、私は修太郎(しゅうたろう)さんの運転するお車で家の近くまで送っていただいた。  修太郎さんはdocono(ドコノ)ショップ近くのコインパーキングに、愛車――黒のアルファード――を駐車しておられた。  七人乗りのミニバンだというアルファードは、車内空間がとてもゆったりとしていて、二人で乗るには少し広すぎてソワソワしてしまった。  もしかしたら助手席に乗り込むときにフラリとよろめいて、修太郎さんに抱きとめられたのが影響しているのかもしれない。  もしくはたった今、修太郎さんが私の身体に(おお)いかぶさるようにして、シートベルトを留めてくださったから気持ちが(たかぶ)っているだけかも?  助手席からの景色も、シートの位置が割と高いからか、気持ち背が高くなった気分で。 「お、大きなお車ですね……っ」  あたふたと後部シートを振り返りながらそう言うと、「年に数回、弟や妹たちを乗せて遠出などをするんです。そういうのを考えると、このぐらい広さがないと不便なんですよ」と修太郎さん。  いざとなったらみんなで車中泊(しゃちゅうはく)が出来ること前提でこの車を買われたとのことだった。
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