13.車のなか*

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「……あ、ご、ごめんなさいっ」  運転中のかたの手に触れるとか……例え使っていないように見えるからって非常識だったよね。  そ、それに……。 (私、何て大胆なことをしてしまったのでしょう!)  そう気付いたら、顔がブワッと熱くなった。 (あーん、私、おバカさんなのですっ)  大失態(だいしったい)に、恥ずかしくて(もも)の上で両手をモジモジと揉み合わせていたら、修太郎さんの手が伸びてきて、私の手の甲に触れた。  そうして、そのまま右手をとらえると、恋人つなぎのように指を絡めていらして……。  そのままセンターコンソールの上に引っ張り上げられてしまう。 「――っ!」  驚いて手を引こうとしたら、 「どうかこのまま……」  運転中なので視線は前方に向けられたまま。でも、言葉と一緒に、ギュッと組み合わされた指が握られて……私はそれだけで心臓が壊れそうに高鳴ってしまう。  重ねられた修太郎さんの手の温もりが心地よくて……。どこか気恥ずかしいのにこの上なく幸せで。 「……あのっ、お邪魔じゃ、ないですか?」  それでも一応運転の(さまた)げになっていやしないかと心配すると、「問題ありません。むしろとても落ち着きます」と言われてしまった。 「……それから先程の一人暮らしの話ですが」  少し間を空けて修太郎さんがそう話し始められて……。
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