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思えば、今までほとんどのことを、目の前にいらっしゃるこの父親がやってくださっていた。お母様も、お父様の指示で色々動いてくださって……私は何もしないでも何不自由なく暮らしてこられた。
でも、だからこそ今回のように未知のことを一人で成し遂げる喜びは得られていなかったんだと思う。
私は少し興奮気味に瞳を輝かせて自分のちっぽけな武勇伝を語ると、
「それは凄いね、日織。父さんも母さんも、日織には手をかけすぎてしまったから……何も出来ない子にしてしまったんじゃないかと心配していたんだよ。だから、今日お前が自分一人で何から何まで初めてのことを成し遂げられたというのを聞いて、少し安心した。――それで、番号は何になったんだい?」
私はさっき、お母様に説明した通りのことをお父様にお話して、
「私が着信を残した後で、お父様の画面を見せていただいても構いませんか?」
恐る恐る聞いてみた。
「もちろんだよ」
お父様がにっこり笑ってくださるから、私は心底ホッとした。
お父様へ番号をお教えして、お母様へお渡しするメモもしたためてから……私は一度深呼吸をする。
「お父様、実は……お伺いしたいことがあります」
そうして気持ちを落ち着けてそう切り出すと、お父様も気持ち背筋を伸ばされた。
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