14.お会いできますか?

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「なんだい?」  穏やかに聞いていらっしゃるお父様に 「お父様は健二(けんじ)さんへはいつも何時ごろに連絡をなさっておられましたか?」  聞きながらスマートフォンを持つ手に思わず力が入ってしまう。  ギュッと指先が白くなるぐらい強く握り締めていたら、お父様がそっとその手に触れていらして。 「そんなに構えることはないんじゃないかな? 日織がかけたいときにかけたんで大丈夫だと思うよ? 都合が悪ければその折には応答なさらないだけだよ。ほら、携帯には着信履歴が残るだろう? お手隙(てすき)になられたらそれを見て折り返してくださるんじゃないか?」  そこまでおっしゃってから、「不在着信になった場合はショートメッセージでこの番号は日織だよ、と送っておけば必ず掛け直してくださると思うし。ショートメッセージの送り方はわかるね?」と頭を撫でてくださる。 「多分……大丈夫です」  私はお父様の言葉に、肩の力をふっと抜くことが出来た。 (緊張はするけれど、よく考えてみたら健二さんと私、対等の立場のはずだもの。何をそんなに萎縮(いしゅく)する必要があるのでしょう!)  そう思い直す。 「お父様、ありがとうございます。早速おかけしてみようと思うのです!」  私はお父様に会釈(えしゃく)をすると、 「失礼します!」  そう笑顔で言って、書斎を後にした。  お風呂まではまだ時間がある。  今から健二さんに電話をしてみよう、と思った。
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