14.お会いできますか?

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 本当は、番号なんて打ち込まなくても、送った時点で相手に私の番号が通知されるのだということを、この時の私はまだ知らなくて。  さっき、修太郎さんへ送ったメッセージとは違って、文字だけの味気ない用件だけのメッセージ。  シンプルなのに、送るとなると気持ちのほうは複雑にもつれて、手がブルブル震えた。  やっとの思いで送信ボタンを押したあとで、『はじめまして』はおかしかった、と気が付いて。  と、取り消し!と思ったのにすぐ〝既読〟の文字がついて、後の祭りだと思い知った。  一度読まれてしまったメッセージは、例え消したとしても意味がない。  私はたった今、そのことを学んだ。 「うーーーー」  ――恥ずかしいのですっ。  小さく(うな)りながら送信済みのメッセージと睨めっこしていたら、またしても手にしたスマートフォンがブルブルと振動して、着信を知らせる黒電話の音が鳴った。  短いシャラーン音とは明かに違うその音は、音声通話の要求を知らせる音で。   あたふたと画面を見ると、 「健二さん……!」  だった。
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