15.健二さん?

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 日曜日。  今日私は、市内では少し高級感のある、とあるホテルのロビーで、十一時に健二(けんじ)さんとお会いすることになっている。  このホテル、最上階に円盤のような物が乗っかっているのが特徴的で、私はそこが何なのかよく分からなくて、前を通るたびにいつも気になっていた。 (今日、お時間があったら探索に上がってみられるかしら)  腕時計に視線を落とすと、お約束の時間まであと二十分もあって。 (早く着きすぎてしまったでしょうか……)  ロビーに置かれたフカフカのソファに腰掛けて、行き()う人々を見回しながら、私は緊張で押しつぶされそうだった。 (修太郎(しゅうたろう)さん……)  待ち合わせのお相手が修太郎さんだったなら、どんなにいいだろう。  ふとそんなことを思ってしまって、私はフルフルと首を振った。今から許婚(いいなずけ)のかたにお会いしようというのに、別の男性のことを考えるなんて良くない。例えそれが、自分を解放して欲しいというお願いに上がるためだとしても。  修太郎さんには、日曜に健二さんとお会いするようになった旨はお伝えした。でも、あえて場所や時間などはお教えしなかった。  もしもそれらをお話してしまったら、私は心の片隅で、修太郎さんが会合()の場に来てくださるのではないかと期待してしまうと思ったから。  自分でちゃんと解決しないといけない問題に、修太郎さんを巻き込んではいけない。
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