15.健二さん?

6/16
前へ
/481ページ
次へ
 何故ならそこにいらしたのは、臨職(りんしょく)仲間の 「――高橋(たかはし)、さん?」  だったから……。  私のそのつぶやきに、高橋さんがニヤリとお笑いになられて、 「改めて初めまして、藤原(ふじわら)さん。いや、日織さんとお呼びすべきかな? 俺が貴女の許婚(いいなずけ)神崎(かんざき)健二です。で、こっちで(ほう)けてるのが――」  そこで高橋さん――健二さん?――は申し訳なさそうなお顔で何も言わずに私を見つめておられる修太郎さんを振り返られて。 「俺の腹違いの兄の塚田(つかだ)修太郎です」  そこまで一気におっしゃってから、余りの情報量にフリーズしてしまった私の目の前で、ひらひらと手を振っていらっしゃる。 「おーい、日織さん、聞いてますか?」  聞いてはいるけれど……。話についてこられているか?と聞かれたら答えは(いな)で。  私はパニック寸前だった。
/481ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2869人が本棚に入れています
本棚に追加