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そんな私の手を、修太郎さんがふいに優しく握ってくださった。
私は彼の手の温もりに、思わず修太郎さんのお顔を見上げてから、彼が大丈夫、と言うふうにうなずいていらっしゃるのを見て、心が落ち着いてくる。
それで、やっとのことで言葉を発することが出来るようになった。
「あ、あの……もう少し分かるように話していただけますか?」
問えば、健二さんがクスクスとお笑いになっていらして。真面目に話してるのに!と思いながらムッとして睨んだら、
「いえ。仮にも貴女はまだ俺の許婚のはずなんですけど……見せつけてくれるな、と思いまして」
言いながら、私と修太郎さんの繋いだ手に視線を送られる。
「あっ……」
言われてみれば本当にその通りで。ビクッとして慌てて手を離そうとしたら、修太郎さんがそれを拒むかのようにギュッと力を込めていらした。ばかりか恋人つなぎのように指を絡めていらして――。
「健二、悪ふざけは大概にしろ。日織さんを騙すような真似をして、責められるべきは僕たちのほうだろう? 彼女を苛めるな」
修太郎さんの牽制に、健二さんが「――ったく兄さんは冗談が通じなくて困る」と舌をお出しになられて。
「日織さん、すみません。兄との仲は俺も公認なんで気にしないでください」
とおっしゃった。
私にはその言葉の意味も分からなくて、ますます混乱する。
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