2870人が本棚に入れています
本棚に追加
「神崎から籍を抜いた後も、僕は健二や……その後に生まれた妹ら二人と縁を断つつもりはなくて……。父が、忙しさにかまけて異母弟妹を構ってやれないだろうことは自分の経験から知っていましたから、むしろ積極的に関わったぐらいです。あの夏、日織さんのお宅へうかがったのも、健二がついてきて欲しいとごねたからでした」
そこで、「父も、お前が一緒の方が健二も落ち着くから先方さんへ御迷惑をおかけしなくていいだろう、と言ったので」と吐き捨てるように呟かれると、
「でも、あの日健二に誘われて藤原さんのお宅を訪れたのは正解でした」
私の手をぎゅっと握って嬉しそうに微笑まれた。
「――貴女に会えたのですから」
幼い私を見たとき、妹さんたちには感じなかった感情が芽生えて驚いたのだ、と修太郎さんはおっしゃった。
「実は日織さんと一番下の妹は同い年なんですけどね」
健二さんのすぐ下の百合子さんは私より二つ年上、私と同い年だという妹さんは籐子さんとおっしゃるらしい。
最初のコメントを投稿しよう!