18.実感してしまいました

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「大丈夫ですよ、僕がついています」  修太郎(しゅうたろう)さんが優しく頭を撫でてくださるのが心地良くて、それが嬉しくてまた涙が追加されて。  自分でもどうしていいか分からなくなってしまう。  私の、よく分からない感情の(たかぶ)りがおさまるまでたっぷり十五分間。  その間、修太郎さんは通行人から私を隠すようにずっと壁になってくださっていた。 「修太郎さん、私、もう……」  大丈夫なのです、と続けようとして、私はせっかく止まった涙が話した刺激でまた出てきてしまいそうになって、慌てて口を閉ざした。  代わりにチョン……と修太郎さんのお洋服を引くと、一応に涙の止まった瞳で彼を見上げてから、小さくうなずいてみせた。  修太郎さんはそんな私の顔を見ると、ホッとしたように肩の力をお抜きになられて、小さく「良かった……」とつぶやく。  それから私の手をギュッと握っていらっしゃると、 「車に着くまでの間、もうしばらく頑張ってください」  それだけおっしゃると、私の手を引いてゆっくりと歩き出されて。  時折私を引っ張りすぎていないか、チラチラと振り返りながら、歩調を合わせてくださるのが分かって、私はそんな修太郎さんにご迷惑をお掛けしないように一生懸命ついて行く。  涙で泣き濡れた顔を上げるのは恥ずかしかったので、うつむき加減で、しっかりと結ばれた手ばかりを見つめながら歩いた。  ややして、ホテル地下の駐車場に停められた修太郎さんのお車にたどり着くと、彼は私を後部シートへ(いざな)われる。  修太郎さんに導かれるまま奥側に詰めると、彼も私の横に乗り込んでいらして、扉が閉じられた。  集中ドアロックがかかる音と同時に、ルームランプがゆっくりと明度を落としていくと、車内は薄暗い闇に包まれる。 「修、太郎さん?」  薄暗がりの中、彼のお名前を呼ぶと同時に、修太郎さんが私をギュッと抱きしめていらした。
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