18.実感してしまいました

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日織(ひおり)さん、貴女が泣いていらしたとき、僕はこうして日織さんを抱きしめて差し上げたかった……。でもさすがにロビーでは目立ち過ぎると思ってずっと我慢してしまいました。今思えば人目なんてはばからず抱きしめるべきだったのかも、と後悔しています。頼りない男で本当にごめんなさい」  耳元で囁かれる修太郎(しゅうたろう)さんの低音ボイスに、私はゾクゾクしてしまう。 「あ、あの……頼りないとかそんな。隠して頂いてすごく、すごく嬉しかったです。それに……」  私の方こそあんな場所で泣いてしまってすみません……と謝ると、修太郎さんが腕を緩めて私の顔を見つめていらした。 「何故泣いていらしたのかお聞きしても?」  心配そうなお顔で問いかけられて、私は戸惑ってしまう。  自分でもどうしてあんなに泣いてしまったのか、実はイマイチ理解できていなくて。  ただ、ひとつだけ分かっているのは――。
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