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「わっ、分かって……ま、す……」
気持ちを鼓舞して、拳をギュッと握って力説しようとしてみたものの、語尾がどんどんすぼまって、最後には小さな声で「た、多分、です、けど……」とモニョモニョ付け加えてしまう。結果、修太郎さんに笑われてしまった。
「本当、貴女という人は……。そんな風に僕を煽っていらして……どうなっても、知りませんよ?」
聞き分けのない子供をあやすようなお顔をしてそうおっしゃる修太郎さんを見て、何となくここで引き下がってしまったら、彼は私を気遣って我慢なさるに違いないと思ってしまった。
今までずっと気づいて差し上げることが出来なかったけれど、恐らくこれまでにだって幾度も、私はこんな風に修太郎さんを我慢させてきたに違いない。
そう思ったら今回こそは、とか思ってしまって。
「しゅ、修太郎さんがお相手なら、私、その、えっと……い、色々と、頑、張れると思うのですっ」
修太郎さんにギュッと抱きついて彼の耳許でそう申し上げたら、修太郎さんは寸の間躊躇われてから、観念なさったように私をギュッと抱きしめ返してくださった。そうして切なく吐息をつかれると、
「……日織さん、あの……本当に。本当に少しだけで構わないので……その、僕のに触れていただけますか?」
低く掠れた声でおっしゃってから、私の右手を取っていらして。そのままそっとそれをご自身の下半身へ導いた。
布越し、温かくて硬いものに手が触れた瞬間、私は思わず指先を竦めてしまってから、でも、と思い直して彼のものに指を這わせて包み込んでみる。
私がほんの少し指を動かしただけでピクンと応えてくださるそこが愛しくて、思わずじっと見つめてしまってから、ハッとした。
(わ、私ってば……はしたないのですっ)
自分の大胆さが恥ずかしくて、真っ赤になりながら視線を彷徨わせて。
いつもならうつむいてかわすところだけれど、今は下を向けば確実に彼のに触れる自分の手が見えてしまって戸惑う。
(ひゃー、ど、どうすればよいのでしょう……っ?)
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