19.触れてみても構いませんか?*

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日織(ひおり)さん。お願い、僕を見て?」  口付けを(ほど)かれた修太郎(しゅうたろう)さんにそう言われて、私は初めて自分が目を閉じてしまっていたことに気付かされた。  ()われるままにゆっくりとまぶたを上げると、私と同じようにどこか潤んだ目をされた修太郎さんのお顔が見えて。  私はその艶めいた表情に、ドキッとしてしまう。 (修太郎さんも、気持ちいいと感じてくださっているのでしょうか?)  私が修太郎さんとの口付けや、彼から胸に触れられることで、頭の芯までぼぉーっとしてしまうような甘い(しび)れを感じているように、修太郎さんも?  そう思ったら右手のなかの修太郎さんの分身が愛しくてたまらなくなる。 (修太郎さんの感じていらっしゃるお顔をもっと見たいのですっ)  恥ずかしいはずなのに、その気持ちがどんどん膨らんで。  私はうっとりと彼の名を呼んだ。 「修太郎さん……」  手の中の彼を優しく撫でると、修太郎さんが堪えるように熱い息を吐かれたのが分かって。 「お声、お聞きしたいです……」  修太郎さんの肩に額を当てて、ポソリと小声でつぶやいたら、修太郎さんに力強くギュッと抱きしめられた。 「本当、貴女はどこまで僕を追い詰めていらっしゃれば……」  溜め息まじりにそうおっしゃってから、私の右手をそっとご自身からお放しになられる。
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