2875人が本棚に入れています
本棚に追加
一生懸命想いの丈を修太郎さんにぶつけると、彼が息を呑まれたのが分かって。
私の瞳をしっかりと見つめていらっしゃると、今度はその視線をそらさずに、「ごめんなさい」とおっしゃった。
「……日織さんが僕のことをそんな風に思ってくださっているなんて、正直驚きました」
そこで言葉を区切って私をギュッと抱きしめると、耳元で続きの言葉をくださる。
「僕は、貴女に愛されていると自惚れてもよい、のでしょうか……? まだ信じられない気持ちでいっぱいですが、同時に……本当に……ものすごい果報者だとも」
痛いぐらいにギュッと抱きしめられて、私はその痛みでさえも、すごく幸せな気持ちに変換してしまう。
恐る恐る修太郎さんの背中に腕を回すと、私も彼を力いっぱいギュッと抱きしめ返した。
「思い切り自惚れてくださいっ! 私も……修太郎さんに愛していただけて、とても幸せです。どんなに嬉しいか、修太郎さんにお見せできないのがもどかしくて堪らないくらいなのですっ」
大切な人に好きだと素直に伝えられること。
その人から同じように気持ちを返していただけること。
それって何て得がたい幸福なんだろう、と思った。
私はこのかけがえのない愛を守るためなら、何だってできるとさえ思ってしまって。
「私、修太郎さんとのこと、お父様やお母様、それから修太郎さんのご両親にもちゃんとご報告させていただきたいです」
もしも反対されたとしても、絶対に説得してみせる。
二人一緒ならできる、と思った。
「それで……そういうのを全てクリアしたら……あのお約束を……」
私がそこまで告げて修太郎さんを見つめると、彼は私の唇に優しくキスを落としてくださった。
それから唇を離して私をじっと見つめていらしてから、
「その時こそ……あなたに、キスのその先を――」
合言葉を告げるようにそう、おっしゃった。
最初のコメントを投稿しよう!