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確かに、と思いつつ、「健二さんからもお母様に何かお口添えをしていただくことはできないのでしょうか?」と尋ねる。
「このままでは修太郎さんが倒れてしまいそうで怖いのです。なのに私は宮美さんの出席は諦めましょうとおっしゃる修太郎さんへ、同意して差し上げることができないのです」
健二さんを真っすぐに見据えてそう言うと、「何故?」と問われて。
「私と健二さんは、まだ両家の認識では許婚だからです」
そう申し上げたら、「ああ……」と嘆息された。
「俺たちの間では話がついた感じになってたんで失念しかけてました。今回は親に兄さんとの交際を告白するんでしたっけ?」
「はい」
「何でその場に俺と佳穂が?とか馬鹿なことを思ってましたけど、行くの、当然ですね」
言われて、私は風になびくスカートを押さえながらうなずいた。
「ですので……健二さんからもお母様へお口添えいただきたいのです。恐らく宮美さんの中では今回のお話、健二さんと結びついていないんじゃないかと……そんな風に思ってしまって」
修太郎さんと一緒に宮美さんのもとへお願いに上がったわけではないのではっきりとは言えないけれど……修太郎さんの口振りと、宮美さんからの反応をお聞きして、私はそんな風に思っていた。
ほぅ、とひとつ溜め息をついたところで健二さんに呼びかけられた。
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