2869人が本棚に入れています
本棚に追加
/481ページ
お父様は立ち上がって応接室を出られると、ややして封書の束を手に戻っていらした。
「見るかい?」
お父様から差し出されるままにそれを受け取って、束ねてある紐を解くと、何通もの分厚いお手紙で。
「修太郎さんの、字……」
中身を取り出してみなくても宛名書きで分かります。
それは、紛れもなくいつもお仕事の時に見慣れた修太郎さんの筆跡で。
「中を拝見しても?」
恐る恐るお父様にお窺いを立てると、何故か「日織が恥ずかしくなければね」と笑みを浮かべて申し添えられてしまった。
「え?」
思わず間の抜けた声を発してしまってから、私は恐る恐る封書の中身を引っ張り出す。
深呼吸をしながら畳まれた便箋を広げてみると……。
右上に日付が付されていて、私がその日何をしたのかが紙一面にビッシリ事細かく認められていた。
最初のコメントを投稿しよう!