21.私の好きな人

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『今日は就業後に、日織(ひおり)さんから「携帯を持つことにしました、どんなのがおすすめですか?」と質問されました。  僕が使っている機種に興味をもっていらしたので、少しご説明させていただきました。  結局、キャリアも機種も僕と同じものになさったようです。  勝手なことをして申し訳ありません。  ただ、ひとつ本音を言わせていただくと、僕は彼女が僕の真似をしてくださったことを大変嬉しく思っています。  彼女が携帯の操作で困った時に、僕が迷いなくお教えできるところが便利だな、と感じているからです。   塚田(つかだ)修太郎(しゅうたろう)』 ***  さすがに修太郎さんのお宅へお伺いしたことや、会議室でのあれこれは書かれていなかったけれど、それを見ると私が修太郎さんのそばで、どんなふうに一日を過ごしていたのかが手に取るように分かって。  というよりも――。 (まるでラブレターのようで照れてしまうのですっ)  業務連絡のようにその日の出来事が箇条書きにしてあるのかと思って目を通し始めた私は、そこに綴られた修太郎さんの(あふ)れてやまない私への愛情をひしひしと垣間見てしまって、照れてしまう。  改めて封筒の方を確認してみると、消印はキッチリ一週間ごとで。 「修太郎さん……筆まめさんですね」  照れ隠しに、内容については一切言及(げんきゅう)せずそうつぶやいたら、お父様に「日織、顔が赤いようだけど、感想は本当にそれだけかい?」と笑われてしまった。
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