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そこで健二さんと佳穂さんに視線を転じていらっしゃると、「相手は入れ替わってしまったかもしれませんが、二人とも神崎さんが推した女性を伴侶に選んだんでしょう? 何か問題がありますか?」とおっしゃった。
「そ、それは――」
天馬氏はまだ何か言いたげに口を何度か開いたり閉じたりなさったけれど、この場には一人もご自身の味方はいないと気付かれたのか、結局口を閉ざしてしまわれた。
「ところで――。一連の経緯は健二くんの采配だったのかな?」
天馬氏が何もおっしゃらないと判断なさったのか、お父様は健二さんの方へ身体の向きを変えて話しかける。
「え?」
それに対して、健二さんは質問の意味をはかりかねたのか、そう問いかけしていらして。
「健二くんは知っていたんだろう? キミのお兄さんが日織のことをずっと想い続けてくれていたことを」
お父様がそうおっしゃると、健二さんは合点がいったように頷かれた。
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