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「こちらこそよろしくお願いします」
両親と一緒に、そう言って絢乃さんにお辞儀をしたら、その拍子に涙がポロリとこぼれ落ちた。
一瞬にして緊張の糸が切れてしまったみたいに、涙腺まで緩んでしまって。
ホロホロと涙が溢れては次々に流れるのをどうしようもなくて。
お母様がそれに気づいてそっとハンカチを握らせてくださったけれど、もうそんなので負えるような状態ではないように思えた。
自分もバッグの中にハンカチを忍ばせているけれど、それを出したところで焼け石に水かな。
(どうしたらいいのでしょうっ)
ホテルでの集まりのあと、同じようになってしまったことを思い出して気持ちばかりが焦ってしまう。
顔を上向けられないままオロオロと考えをめぐらせていたら、
「日織さん」
私の不穏な様子にお気づきになられた修太郎さんが、即座に立ち上がられると、皆さんへ声をおかけになられた。
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