23.所有印を付けたい

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 庁舎に戻って手帳を確認した私は、今日、確かに何の予定も入っていないことを確認した。  修太郎(しゅうたろう)さんに、小声で今夕問題ない旨を伝えると、小さくうなずいていらした。  仕事が終わったら家に連絡して、今日は帰宅がいつもより遅くなることを伝えなくては。  私は仕事をしながら、そわそわと修太郎さんとのデートのことばかりを考えてしまう。  そういえば……。  全ての問題が片付いたら……キスのその先を教えて頂けることになっていました。  まさか今日?  そう考えたら一気に頬が赤らんでしまって、修太郎さんに熱があるのではないかと心配されてしまった。  まさかエッチなことを考えてしまって顔が赤くなってしまいました、とは言えなくて……私はフルフルと首を振ることしか出来なくて。 「体調……ではないのですっ。夕方のことを考えていたら嬉しくてつい」  結構苦しい言い訳です。  でも、修太郎さんは「ああ」と一言おっしゃると、「僕もとても楽しみです」と微笑んでいらして。  その、何も(よこしま)な思いが含まれていないような純粋な笑顔に、私はますます羞恥心に飲み込まれてしまう。 ***  結局就業後、いつものように修太郎さんの車で待ち合わせをすることになった。  私の方がいつも早く出るので修太郎さんからお車の合鍵を渡されているのですが、それが何だか特別な感じがして、嬉しくて。  あれでしょうか。  お部屋の合鍵を頂く時の気持ちに似ているのかも知れません。  そちらはまだどなたからも頂いたことはないのですけれども。
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