23.所有印を付けたい

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「あ、あの、修太郎(しゅうたろう)さん……私っ、その……」  嬉しさと戸惑いとで頭がパニックで、どうしたらいいかわからなくなってしまった私に、修太郎さんが懇願(こんがん)なさるような声音でおっしゃいます。 「日織(ひおり)さん、もしも……もしもこの先も、僕とずっと一緒にいてくださるなら……ただ一言、はい、と……」  そのお声に、私は半ばつられるように「はいっ……!」と即答していた。  私、ずっとずっと修太郎さんと一緒にいたいですっ。  思いながら修太郎さんをじっと見つめたら、「でしたら指輪ごと僕の気持ちを受け取っていただかなくては……その……立つ瀬がありません」と不安そうな目でじっと見つめ返されてしまう。  私は修太郎さんのその表情に、やっと心が決まりました。 「あ、あのっ、本当に……有難うございます……。す、凄く凄く嬉しいのですっ。わ、私っ、物凄く世間知らずの不束者(ふつつかもの)ですが……その、宜しくお願いしますっ!」  言って、彼の様子を(うかが)うようにそっと、左手を修太郎さんのほうへ差し出して、 「しゅ、修太郎さんが……つけて、くださいますか?」  ドキドキと高鳴る心臓を押さえながら、震える声で、そうおねだりした。  お願い修太郎さん、早く私の手を握ってください……。  でないと私、緊張であり得ないくらい手が震えて……恥ずかしいのですっ。  ドキドキしながら彼を盗み見たら、修太郎さんも同じように照れてはにかんでいらして。 (か、可愛いっ……)  一瞬、現状も忘れて、私は彼の表情に見惚(みと)れてしまいました。
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