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「あ、あの、修太郎さん……私っ、その……」
嬉しさと戸惑いとで頭がパニックで、どうしたらいいかわからなくなってしまった私に、修太郎さんが懇願なさるような声音でおっしゃいます。
「日織さん、もしも……もしもこの先も、僕とずっと一緒にいてくださるなら……ただ一言、はい、と……」
そのお声に、私は半ばつられるように「はいっ……!」と即答していた。
私、ずっとずっと修太郎さんと一緒にいたいですっ。
思いながら修太郎さんをじっと見つめたら、「でしたら指輪ごと僕の気持ちを受け取っていただかなくては……その……立つ瀬がありません」と不安そうな目でじっと見つめ返されてしまう。
私は修太郎さんのその表情に、やっと心が決まりました。
「あ、あのっ、本当に……有難うございます……。す、凄く凄く嬉しいのですっ。わ、私っ、物凄く世間知らずの不束者ですが……その、宜しくお願いしますっ!」
言って、彼の様子を窺うようにそっと、左手を修太郎さんのほうへ差し出して、
「しゅ、修太郎さんが……つけて、くださいますか?」
ドキドキと高鳴る心臓を押さえながら、震える声で、そうおねだりした。
お願い修太郎さん、早く私の手を握ってください……。
でないと私、緊張であり得ないくらい手が震えて……恥ずかしいのですっ。
ドキドキしながら彼を盗み見たら、修太郎さんも同じように照れてはにかんでいらして。
(か、可愛いっ……)
一瞬、現状も忘れて、私は彼の表情に見惚れてしまいました。
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