23.所有印を付けたい

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***    修太郎(しゅうたろう)さんに指輪を頂いた日。  プロポーズをして下さったその足で、修太郎さんは私を家まで送ってくださいました。  そうして両親の前で私に結婚の申し込みをしてくださったことをはっきりと明言してくださって……。私は彼に頂いた指輪を、照れながら両親に披露しました。  修太郎さんの行動力に驚くやら、恥ずかしさに照れるやらで、私は修太郎さんに支えられて真っ赤になりながら、すぐ背後に立つ修太郎さんと、目の前の両親とを何度も何度も交互に見遣(みや)ることしか出来ませんでした。 「日織(ひおり)、そんなに照れなくても」  とうとう見かねたお母様が苦笑交じりにそうおっしゃって。 「そもそも許婚(いいなずけ)になったのだから、そういうことが近いうちに起こるのも想定の範囲内だっただろうに。――お前という()は……」  お父様も笑ってそうおっしゃった。 「でもっ、でもっ。そんな急に……こんなことになるなんて……思わなかったのですっ」  やり場のない恥ずかしさに、何となくプッと膨らんで修太郎さんを非難がましく振り返ったら、「ごめんなさい。僕も今日言うつもりではなかったんですけどね……つい」と苦笑なさった。  本当はお日柄などをちゃんと選んで……それなりのお店でディナーを食べてから……ムードを盛り上げてしかる後に……と思い描いていらしたのだと修太郎さんが鼻の頭を掻かれる。  照れくさそうな、可愛らしいその仕草はずるいですっ。  わ、私の方が照れてしまうのです……。
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