25.僕は今日どうしても

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日織(ひおり)さん、今日は何だかいつもと雰囲気が違いますね」  修太郎(しゅうたろう)さんは、家の前の駐車場に停めていらした愛車に私をエスコートしてくださると、車内に乗り込むなりそうおっしゃいました。 「もしかして、変……ですか?」  イメチェンをはかったくせに、修太郎さんに指摘された途端、ソワソワと胸騒ぎを感じてしまう。  不安に思いながら彼のお顔をじっと見つめたら、「まさか。とても素敵です」と言ってくださって、ホッとする。 「それに――」  そこで私の頬に手を伸ばしていらっしゃると、修太郎さんの指先がそっと耳たぶに触れる。  その感触に思わず「んっ」と小さく声が漏れてしまって、私は恥ずかしくて頬に熱がこもるのを感じた。 「僕がプレゼントしたイヤリングも付けて来て下さって……本当に嬉しいです」  そんな私の耳元に、運転席側から身を乗り出すようにして唇を寄せていらっしゃると、修太郎さんが耳朶(じだ)に吐息がかかる距離でささやいていらして。  そのまま耳たぶにチュッとキスをされた私は、 「ひゃっ」  思わず耳を押さえて変な声を出してしまってから、真っ赤になって修太郎さんの方を見遣った。 「ごめんなさい、あんまり可愛らしいお耳だったので、つい」  言いながらクスクスと笑う修太郎さんは、絶対に確信犯だと思うのですっ。
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